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フィスコ投資ニュース配信日時: 2026/10/05 11:09, 提供元: フィスコ ドリーム・アーツ Research Memo(9):デジタルの民主化を基本に市民開発の認知向上と顧客基盤拡充図る(2)*11:09JST ドリーム・アーツ Research Memo(9):デジタルの民主化を基本に市民開発の認知向上と顧客基盤拡充図る(2)■ドリーム・アーツ<4811>の中期経営計画 2. 成長戦略とCSF(Critical Success Factor:重要成功要因) この計画は、同社がこれまで掲げてきた「デジタルの民主化」を基本戦略としている。今回、「デジタルの民主化」を「DX内製化が経営課題となるなか、業務部門がDXによる課題解決と価値創出に主体的に取り組み、その改善と価値の増幅を自律的かつ継続的に主導する状態」と定義した。すなわち、「業務部門が自部門DXの投資対効果に責任を持つ」「業務部門が業務要件の定義と仕様決定を主導する」「業務部門が『市民開発』により、実装プロセスに能動的・主体的に関与する」ことが成立要件となる。「デジタルの民主化」なくしてDXは成立しない、ということを「NOデジ民 NO DX!」というキャッチフレーズで表現し、ノーコードツールである「SmartDB」が、現場の担当者(「市民開発者」)が自ら能動的・主体的にDXを進めることができるプラットフォームであることを引き続き訴求していく。 基本戦略の推進に当たっては、5つのCSFがカギを握ると考えている。1点目は、MCSA(Mission Critical System Aid)領域での「SmartDB」の活用促進だ。現在、会計業務のフロントシステムの大規模案件が進行中のほか、事例自体も増えてきたことで、それに応じて引き合いも増加しているようだ。2点目は、日本企業の海外拠点のデジタル化を支援する構想「グローバル・コネクト」である。機能・オプション群を組み合わせ、グローバル共通プラットフォームでの業務遂行による海外DXを進め、国内本社と海外拠点との連携強化を実現している。実際に海外で「SmartDB」を利用している企業のうち、具体名を挙げられるところだけでもアシックス、日本通運を擁するNXグループなどのグローバル大手企業が既に利用している。日本本社と海外拠点の業務プロセスの統一や標準化をノーコードで実現するため、グローバル展開する大企業での活用が「SmartDB」を拡販していくためのカギとなる。具体的には、日・英・中に加え、順次10言語以上に対応する「マルチLANGUAGE」、申請書など「SmartDB」のフォームに入力されたテキストを自動翻訳する「AI翻訳ロボット」、GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)やCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)など各国の法対応に向けた規約同意を収集する「規約確認機能」、国内外を問わずユーザーのアクセス経路に応じたデータアクセス権限を規制する「マルチGATEセキュリティ」、24時間365日無停止のサービス提供を行う「無停止運用」の機能・オプション群を順次リリースしていく。特に重要性の高い無停止運用については、完全移行の実現フェーズが近づいてきており、顧客獲得に弾みがつきそうだ。 3点目は、2025年6月に発表した大企業におけるAI活用の新たな独自構想「DAPA」だ。2026年6月に「DAPA 2.0」へと構想がアップデートされた。DAPAは、急速に進展する生成AIを単に製品へ搭載するのではなく、AIを実務・実践・実用的に活用するための同社の根本的なコンセプトである。第1弾では、業務フローにAIを組み込み、入力内容のチェックやドラフト案の生成などを通じて組織の意思決定を支援する方向性を打ち出し、その具体策となる「SmartDB Practical AI」オプションは2026年4月に正式提供を開始した。DAPAが一貫して重視するのは、AIエージェントが人間の意思決定を全面的に代替するのではなく、最終的な判断と責任を人間に残す「Human in the Loop」、すなわち人間とAIの協働である。特に、複雑な組織構造や権限体系を持つ大企業では、AIモデル自体の性能だけでなく、誰がどの情報にアクセスできるのか、その判断がどのような背景や経緯から生まれたのかといった情報を適切に扱うことが実務利用には不可欠となる。 DAPA 2.0では、この考え方をさらに一歩進め、「意味のDX(Semantic DX)」を新たな中核概念として打ち出した。従来のDXがデータのデジタル化・可視化・蓄積・連携を進めてきたのに対し、DAPA 2.0では、データに業務上の意味や文脈、関係性、権限、判断根拠などを付与し、AIやAIエージェントが安全かつ実務的に利用できる「AI Readyデータ」へと変換していく。同社はこれまで「SmartDB」を通じて、大企業の重要業務データを蓄積する基盤と、グループ会社や協力会社まで含めた複雑なユーザーマスタ・権限管理台帳という2つの競争優位を築いてきた。DAPA 2.0では、これらに「AI Readyデータ生成基盤」を加え、「SmartDB」を単に業務データを記録するSoR(System of Record)から、組織の意思決定を支援するSoDI(System of Decision Intelligence)へ進化させる構想を掲げている。 その実現を支えるのが、ベクトル化技術、セマンティック技術、そして同社が長年培ってきた権限制御である。ベクトル化技術によって議事録やコメント、メールなどの非構造データをAIが扱いやすい形へ変換するとともに、オントロジーとContext Graphからなるセマンティック技術によって、業務概念や、人・組織・案件・契約・承認履歴などのつながりをAIが理解できるようにする。「SmartDB」上では稟議や申請、承認、差し戻し、回付など、意思決定に至る業務プロセスそのものが実行されるため、その過程で生じる判断の経緯や根拠を継続的に蓄積できる点が特徴となる。こうしたデータを蓄積することで、将来的には「SmartDB」をAIエージェントに業務データや権限情報、プロセス上の文脈を提供する「業務コンテキストサーバー」へと進化させることを目指しており、MCP(Model Context Protocol)など標準プロトコルを通じた接続や、AIエージェントの権限・利用ログを管理する「AIエージェント台帳」の実装も視野に入れている。 なお、2026年内にベクトル化技術の第1弾を開始し、2027年6月を目途にオントロジーとContext Graphからなるセマンティック技術の第1弾にも着手する。DAPA 2.0で描かれた仕組みが確立すれば、利用期間や利用範囲の拡大に伴って顧客にとってのスイッチングコストが高まるとともに、大企業の現場部門とIT部門、さらにはAIをつなぐ業務基盤として「SmartDB」の競争優位を一段と強化できる可能性がある。 4点目は、PLG(Product-led Growth)であり、「SmartDB」を主な成長エンジンとして、顧客獲得・エンゲージメント・拡張(アップセル)を推進していくことであり、「SmartDB」が持つスモールスタート可能な価格設計、利用拡大に応じた段階的ライセンスモデル、柔軟なオプション課金などを維持・向上させる必要がある。「SmartDB」にはユーザー追加、バインダ(データベース)追加以外にも業務の複雑性に応じた課金オプションが用意されており、セキュリティオプション、タイムスタンプ、データ一括アップロード、業務ダッシュボード、検証環境などの多様な製品オプションをラインナップしている。2025年7月には「SmartDB」でマイナンバーカードによる本人確認への対応を開始した。マイナンバーカードを用いた社外パートナーとの連携を業務プロセスに組み込むことで、分断されていた業務を統合し、安全かつ効率的な外部連携を実現する。また、他社SaaSとのAPI連携モジュールも投入しており、これらのオプションによってアップセル、ARPAの向上を図る。50万名を超える社外利用者(取引先など)とのアカウント共用を実現したほか、それに対応して組織ごとのアカウント一括管理機能を強化するなど、需要に即した拡張が進んでいる。なお、他社SaaSとの連携としては「Microsoft 365」「Amazon Business」「Adobe Sign」「クラウドサイン」など多数ある。5点目は、EC2(External Capability & Capacity)だ。「デジタルの民主化」に必要な推進体制・支援体制を強化するため、社外リソース(ユーザー企業内の資格認定者、戦略パートナー)を拡充することがポイントとなる。2026年6月には、DX人材の育成・伴走支援サービスを展開してきたコクー(株)との資本業務提携を発表しており、SmartDBを扱える人材の育成・供給体制を拡充し、顧客企業におけるDX内製化の立ち上げと定着を加速させていく。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝) 《HN》 記事一覧 |