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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2026/06/25 11:07,
提供元: フィスコ
西部ガス Research Memo(7):エネルギー事業の成長加速と不動産事業の安定収益確保により利益を最大化(2)
*11:07JST 西部ガス Research Memo(7):エネルギー事業の成長加速と不動産事業の安定収益確保により利益を最大化(2)
■西部ガスホールディングス<9536>の中長期の成長戦略
3. グループ中期経営計画
グループ中期経営計画「ACT2027(2025〜2027年度)」においては、国内外の天然ガスニーズの拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、徹底的なトランジション需要の獲得やひびきLNG基地能力増強への着手などによるエネルギー事業の成長の加速と、不動産事業の安定的な収益確保により利益を最大化するとともに、グループ経営管理の高度化による資本効率の向上に取り組むことを基本方針と掲げている。なお、グループビジョン2030の達成に向けて、より積極的に(ACTIVE)行動(ACTION)し、グループを活性化(ACTIVATE)する重要な期間として、中期経営計画を「ACT」と名付けている。前グループ中期経営計画「Next2024」では、電力事業や不動産事業の成長による「ガスエネルギー事業以外の拡大」を目指してきたことからすると、その後の事業環境変化等を踏まえた大きな方針転換と言える。
上記の基本方針を推進するための全社戦略の柱と、戦略に紐づく9つの重点取り組みを設定しており、すべての戦略を支える人的資本の強化を基盤に、「サステナビリティ経営」「グループネットワーク経営」「資本コスト経営」の推進を全社戦略の柱に挙げている。
「サステナビリティ経営」に関する取り組みの1つとなる「カーボンニュートラルへの取り組み推進」には、天然ガスのトランジッション需要獲得やひびき発電所稼働による低炭素な電力供給などが含まれる。また、「グループネットワーク経営」に関する取り組みとしては、地域や顧客とのつながり強化による不動産事業の推進や、まちづくり、企業変革に向けたDX戦略の推進などが含まれる。
「資本コスト経営」に関しては、資本コストを上回るリターンを継続的に創出し、企業価値の向上を実現する全社的な取り組みとして、「事業ポートフォリオマネジメントの高度化」「ROICツリーマネジメントの推進」を掲げている。資本コスト経営を標榜してROICを導入する背景には、東証がプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請するなど、世の中の大きな流れの変化があると考えられる。事業ポートフォリオマネジメントにおいては、事業管理単位・責任体制の再構築とROICを活用したポートフォリオマネジメントにより、資本コストを意識した戦略的な経営資源配分を実施する。この観点からすると、特に不動産事業において改善余地があると同社は認識しており、資産入替や不動産流動化なども視野に入れて見直しを進めている。
「人的資本」に関する取り組みとしては、「人的資本経営の強化」を掲げており、2025年11月には「西部ガスグループ人的資本レポート2025」を発行して、積極的に取り組む姿勢を示している。中期経営計画に基づき、従業員エンゲージメント向上を最重要指標としながら、「経営戦略に連動する人財施策の実施(採用・育成・配置)」、「挑戦を通じた成長支援(挑戦支援とキャリア自律支援)」、「価値創造を加速する組織基盤の強化(DE&I推進と健康経営推進)」という3つの柱を中心に、人財戦略を展開している。主な取り組みとして、グループ経営人財の育成、戦略人材の育成、社内大学(ソウゾウ大学)の継続実施、リスキル(自発的な学び)実践に向けた支援、ウェルビーイングの推進、次世代管理者育成プログラムなどがある。また、人的資本経営を強化するために、社長執行役員を委員長、人財戦略部担当取締役を副委員長とし、グループ会社社長をメンバーとする「西部ガスグループ人的資本委員会」を2025年2月に設立した。西部ガスグループ人的資本委員会は、年1回以上開催し、重要事項については経営会議・取締役会へ報告する体制をとっている。委員会の傘下組織として、人財戦略部担当取締役を委員長とした「西部ガスグループダイバーシティ部会」と「西部ガスグループ健康経営推進部会」を設置し、グループ各社とともに人的資本の価値の最大化に取り組んでいる。
中期経営計画の最終年度となる2027年度(2028年3月期)における財務目標として、ROE8.0%程度、ROIC2.3%程度、自己資本比率23.0%以上、2025年度から2027年度合計の経常利益380億円を掲げており、資本コスト経営の推進に向けたROIC目標の導入が目新しい点になる。なお、2026年3月期において自己資本比率24.7%、ROIC2.3%と、この2つの指標については既に目標をクリアしているが、ひびきLNG基地能力増強に伴うキャッシュアウトの本格化などを踏まえると、目標達成のハードルは低くない。中期経営計画期間(2025〜2027年度)においては、キャッシュアウトとして成長投資を含めて約1,500億円、キャッシュインとして営業キャッシュ・フロー760億円を見込み、残りを有利子負債調達と資産売却等で充当する計画である。財務リスクの適正なコントロールに向けて、上記のキャッシュ・アロケーションに沿った財務運営を進められるかが注目点となる。
4. 中長期的な基本方針
同社は中長期的視点から、グローバルエネルギービジネスの取り組みに意欲を示している。2031年3月期までに海外エネルギー事業を総合エネルギー事業と不動産事業に次ぐ第3の柱とすることを目指し、ひびきLNG基地の3号LNGタンクを最大限に活用して基地利用事業を拡大するとともに、新たな挑戦分野として海外ガス中下流事業及び海外LNG販売事業への取り組みを掲げている。海外展開には困難を伴う面があり、当面は出資先のベトナムを中心とした試行段階と見られる。なお、ひびきLNG基地の戦略的活用などに関するJERAとの提携に関しては、同基地の立地的優位性を生かし、将来的にアジアをはじめとするグローバルビジネスの推進も視野に入れており、今後の提携の進展に期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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