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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2026/04/06 11:06, 提供元: フィスコ

井関農 Research Memo(6):成長の基となる抜本的構造改革と成長戦略

*11:06JST 井関農 Research Memo(6):成長の基となる抜本的構造改革と成長戦略
■中期経営計画

2. 井関農機<6310>の構造改革と成長戦略
(1) 抜本的構造改革
生産最適化では、効率化と平準化を進めて生産性を向上するため、製品組み立て拠点を集約して棚卸資産と固定資産の圧縮を実行する。2024年7月に井関松山製造所と井関熊本製造所を経営統合※し、井関熊本製造所で生産していたコンバインを井関松山製造所に移管し、続けて井関新潟製造所で生産していた田植機も井関松山製造所に移管する。また、油圧機器の生産を井関松山製造所から井関新潟製造所へ移管、井関松山製造所で生産していた中小型トラクタなど海外向け製品の生産をPT.ISEKI INDONESIAへ移管する。こうした製造拠点の集約と海外生産拠点の増強を2030年までに完了する計画である。開発最適化では、開発の効率化と製品利益率の改善を目的に、成長率と市場規模という観点から開発する機種・型式の30%以上を削減するとともに、グローバル共通設計の強化を図る。需要が減少傾向にある小規模農家向けに関しては、製品の安定供給を目的にヤンマーアグリ(株)との間で、山間地や小規模区画向けの小型農業機械を相互にOEM供給するアライアンスを締結した。なお、生産最適化と開発最適化による営業利益の増益効果として、2027年12月期までに約30億円(2023年12月期比)の積み上げを見込んでいる。

※ 経営統合後の新社名をISEKI M&Dとし、井関熊本製造所での生産は2025年12月末に終了した。

国内営業深化では、在庫拠点の最適化や物流体制の見直しによる経営効率の向上、ノウハウの共有化による顧客拡大と提案力強化などを目的に、国内広域販売会社の経営統合を行った※。販売会社統合に伴うコスト削減などにより、営業利益で2027年12月期までに20億円程度(2023年12月期比)の積み上げを見込む。こうした経営統合のなかで目玉となるのが、農業の大規模化に対応するための専門部署として新設された「大規模企画室」で、効率化とシナジー創出を加速することで成長戦略の基盤づくりも目指す。

※ 2025年1月に、ヰセキ北海道、(株)ヰセキ東北、(株)ヰセキ関東甲信越、(株)ヰセキ関西中部、(株)ヰセキ中四国、(株)ヰセキ九州の国内販売会社6社及び三重ヰセキ販売(株)、井関農機営業本部を統合し、ISEKI Japanに社名を変更した。

経費削減では、抜本的構造改革と並行して、間接部門のスリム化や希望退職の募集などにより人員構成の最適化を図るとともに、組織や業務の統合を進めて運営経費も徹底して削減する予定である。また、成長分野への人材配置や市場競争力を高めるための教育研修の充実など人的資本投資を進めるとともに、ワークライフバランスの充実やダイバーシティの確保などにより従業員のエンゲージメント向上を図る。これにより、2027年12月期までに2023年12月期比で、人員構成の最適化と人的資本投資によりネット10億円程度、その他経費削減により10億円程度の営業利益の創出を見込んでいる。

(2) 成長戦略
海外では地域別戦略と商品戦略を推進し、2030年12月期までに売上高800億円、売上高の年平均成長率10%、営業利益の年平均成長率20%の達成を目指す。特に収益性・成長性の高い欧州市場では、連結子会社3社の連携によるシナジーと景観整備市場No.1ブランドとしての地位を生かしつつ、ラインナップの拡充、在庫の一元管理、多様な人材交流を図り、海外事業の収益成長をけん引する。さらに、欧州を軸に東欧や中東など相対的に低シェアまたは未開拓の周辺市場への進出を強め、現地代理店などのM&Aも検討する。北米では、地域特性に応じたOEM製品の供給により、グローバル戦略パートナーであるAGCOのシェアアップを図る。アジアでは、アセアン事業の営業拠点であるタイIST Farm Machineryを核に周辺国への拡大を図るとともに、インドネシアの同社生産拠点PT.ISEKI INDONESIAに加えてインドTractors and Farm Equipment Ltd.から競争力のある製品をタイムリーに提供していく。こうした戦略によって、海外では2027年12月期までに10億円程度(2023年12月期比)の営業利益を上乗せする考えだ。

国内では、成長分野でニーズの強い「大型」「先端」「畑作」「環境」へ経営資源を集中して販売を伸ばすとともに、ノウハウの共有によってメンテナンスなど高収益事業を拡大し、中長期的に安定した利益を確保する計画である。そのためにグループの強みと経営資源を生かし、ロボットトラクタやアイガモロボ、可変施肥田植機や大型JAPANシリーズなど「大型」「先端」「畑作」「環境」に対応した付加価値の高い農業製品や農業ソリューションを提供していく。同時に大規模企画室の強化や、大型農機・畑作酪農に強い人材の育成などによって、大規模農業におけるニーズに迅速に対応できる体制を構築・強化する。加えて、欧州で実績のあるNon-Agri製品の国内展開を加速し、造園業者や建設土木関連事業者などプロ向けに販売する。これにより、2027年12月期までに営業利益で5億円程度(2023年12月期比)の積み上げを見込む。さらに、2030年までに同社製品売上高に占める大型機種の割合を50%以上に高めるほか、先端技術を取り入れた商品の売上高を年平均7.9%で成長させることも計画している。

バランスシートの改善では、特に棚卸資産に関して、製造所集約による調達・物流体制の改善や季節商品の適時対応、機種・型式の集約を通じた効率化、国内販売会社統合や欧州子会社連結化による在庫の一元管理による効率的運用に加え、生産と販売の連携強化や生産リードタイムの短縮などサプライチェーン改革によるさらなる圧縮を図る。固定資産に関しては、プロジェクトZ投資で増加するが、稼働率の高い資産にシフトし、余剰資産は売却も検討する。さらに、収益性改善と成長によって生み出されたキャッシュ・フローによって有利子負債を圧縮するとともに、株主還元の強化も進める方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



《HN》

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