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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/30 12:01, 提供元: フィスコ

エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):2026年3月期中間期は最終損失。通期は増収増益予想を据え置き

*12:01JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):2026年3月期中間期は最終損失。通期は増収増益予想を据え置き
■要約

エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化している。同時に、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、SE構法を提供している。SE構法は、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)で主流のラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に応用した同社独自の建築システムであり、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークにより提供する。また木造建築の耐震設計ノウハウを幼稚園や老人介護施設、店舗やオフィスなど住宅以外の大規模木造建築へ転用し、事業規模を拡大している。

1. 2026年3月期中間期の業績
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高3,800百万円(前年同期比1.3%減)、売上総利益1,081百万円(同2.2%増)、営業利益12百万円(同85.6%減)、経常損失12百万円(前年同期は118百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失27百万円(前年同期は68百万円の利益)と、わずかに減収、経常損益・最終損益はいずれも損失となった。建築基準法の一部改正に伴い、建築確認申請の審査期間が長期化したうえ、行政側の手続きの遅延等も影響し、住宅分野での構造計算出荷数等に影響が及んだ。利益面では売上総利益が微増となったが、営業利益は人件費や販売促進費、広告宣伝費等の増加で減益となった。また、経常損益・最終損益は、(株)翠豊が木材輸入に伴う為替リスクヘッジオプション取り引きにてデリバティブ評価損を計上し、損失となった。なおデリバティブ評価損は期中に認識済であり、下期での計上は予定していない。

2. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期の連結業績は、売上高9,016百万円(前期比11.0%増)、営業利益294百万円(同64.9%増)、経常利益326百万円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益229百万円(同18.5%増)と、期初業績予想を据え置いた。住宅分野では、建築確認申請期間の長期化の改善や、SE構法の未出荷案件の出荷が進むほか、中間期に続いてSE構法の引き合い増加が期待される。大規模木造建築(非住宅)分野では、下期への出荷ずれ込み分の業績面の上乗せが期待できるほか、下期もSE構法出荷数の堅調な推移が期待される。環境設計分野では、省エネルギー(以下、省エネ)計算の義務化や中古マンションのリノベーション需要の増加に伴う省エネ計算数の伸びが期待される。DX・その他の分野では、(株)MAKE HOUSEの「MAKE ViZ」の業績寄与が期待される。利益面では翠豊におけるデリバティブ評価損がはく落し、本来の利益率が業績に反映される見込みだ。2025年3月期は連結子会社や持分法適用関連会社の黒字達成により営業利益や経常利益が改善し、現状各社とも業況は堅調なことから、2026年3月期連結での黒字転換が期待される。

3. 中期計画の進捗状況と今後の成長戦略
中期計画(2024年3月期〜2026年3月期)については、新設住宅着工戸数がこれまで低調に推移していた影響から見直す方針である。建築基準法改正に伴う端境期でもあり、見直し後の内容の発表時期は検討中である。現時点での同社の分野別成長戦略として、住宅分野では、SE構法の新バージョン「SE構法Ver.3」による性能の大幅向上を生かした対応強化を進める。大規模木造建築(非住宅)分野では、「大規模木造建築ネットワーク」を活用した新規需要の発掘や主要プレカット木造部材の供給体制の増強により、受注獲得機会を拡大する。環境設計分野では、すべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化されたことを追い風に、登録施工店ネットワークを中心に販売拡大策を展開する。リノベーションでは中古マンション市場の需要を取り込み、ZEB※認証については環境に関心の高い企業・団体を中心に販促活動を進める。

※ ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略。建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した指標。高効率な設備システムの導入により室内環境の質を維持したまま大幅な省エネルギー化を実現し、さらに消費するエネルギーをすべて太陽光等再生エネルギーで賄うことを目指す。ZEB化支援事業として認定されれば、環境省、経済産業省等から補助金が交付される。

■Key Points
・2026年3月期中間期は法改正の影響を主因に減収、子会社のデリバティブ評価損で損失計上
・2026年3月期は予想据え置き。SE構法Ver.3の拡販や大規模木造建築ネットワークを活用
・法改正を追い風にSE構法の優位性を訴求し、リノベーションの需要取り込み成長目指す

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)


《HN》

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