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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/07/09 15:43, 提供元: フィスコ

中西製作所 Research Memo(3):主力は業務用厨房機器製造販売事業。不動産賃貸事業も展開

*15:43JST 中西製作所 Research Memo(3):主力は業務用厨房機器製造販売事業。不動産賃貸事業も展開
■事業概要

1. 事業概要
中西製作所<5941>は、業務用厨房機器製造販売事業と不動産賃貸事業の2つを展開している。業務用厨房機器製造販売事業は、2025年3月期に売上高で99.7%、営業利益で98.0%を占める。主力事業かつ主要販売先である学校給食の納期が夏季と年度末に集中するため、売上高は第1四半期と第3四半期に比べて第2四半期と第4四半期、特に年度末の3月に多くなる傾向がある。不動産賃貸事業では、東京都中央区に所有するオフィスビルの一部フロアを賃貸している。

2. 自社製品
業務用厨房機器製造販売事業の2025年3月期における製品の売上高構成比は85.0%に達した(残りは商品で売上高構成比は14.7%)。主な自社製品は食器洗浄機、食器消毒保管機、加熱調理機、炊飯システムである。

食器洗浄機では、学校給食センター向け大型洗浄機「NAWシリーズ」や、単独校や病院向け「EO型洗浄機」、外食産業向け「SMARTwasherシリーズ」、容器洗浄機など多様な製品を展開している。なかでも「NAW-PATA」は、食器をカゴに入れたまま強力な洗浄ノズルで食器間に隙間をつくりながら強力に連続洗浄する。食器をカゴから出し入れする手間を省き、必要な人数と洗浄スペースを最小限に抑える、現代のニーズに合致したシステムである。また、水の再利用による節水や断熱による熱効率の向上など、省エネも実現している。食器消毒保管機器は、標準式、カートイン式、コンテナ式など用途に合わせたラインナップがあり、食器・容器の衛生を保つことができる。

加熱調理機では、業界に先駆けて連続式過熱水蒸気オーブンを開発・発売し、コンビニエンスストア向け食品をジューシーに仕上げることが可能となった。近年では殺菌効果も確認され、産学連携で野菜調理などへの応用研究を進めている。小型化も進め、卓上型過熱水蒸気オーブン「DEECO」も開発した。

炊飯システムは、炊飯の前工程、本工程、後工程を自動制御し、食数や設置条件に合わせてカスタマイズが可能である。白飯や炊き込みご飯、混ぜご飯、寿司飯にも対応できるため、学校給食センターほか、コンビニエンスストアからの引き合いが好調である。加えて、おにぎりや寿司などの米飯が普及している諸外国への輸出も見込まれている。


主力の学校給食は売上規模が大きく好採算

3. 対象マーケット
同社が対象としているマーケットは、学校給食、病院・福祉給食、事業所給食、外食産業、食品加工など多岐にわたる。このうち祖業である学校給食は、食器洗浄機や食器消毒保管機など自社開発製品が多く、顧客の多様なニーズに対してカスタマイズが可能で、高い収益性を持つ。また、これまで製造で培ってきたノウハウを生かした調理場作業の効率化などの提案に加え、安全でおいしい食事の提供に向けた衛生管理などソフト面での提案も行っている。これにより、全国の学校給食センターではトップクラスのシェアを占める。

病院や福祉施設では、合理化を背景に給食委託会社のセントラルキッチンでの調理が増加傾向にあるため、同社は給食委託会社への営業を強化している。

大手外食産業では、日本マクドナルドホールディングス<2702>などの全国チェーンに対する店内厨房設計やセントラルキッチンに強みがある。特にセントラルキッチンは、同社が得意とする大量調理機器を生かせるため、積極的に営業を展開している。

社食など事業所給食については、労働環境改善に伴う改修がビジネスチャンスとなる一方、自社製品比率の低いカフェテリア方式の増加や、コンビニエンスストアや弁当店でランチを調達する傾向の拡大により、厳しい状況にある。このため同社は、コンビニエンスストアのベンダー工場への営業攻勢を強めるとともに、ノンピのキッチンレス社食でカバーする方針である。


技術力や営業力を背景にした提案から開設支援までの一貫体制が強み

4. 市場と強み
厨房機器の市場には、同社と同規模クラスの企業が6社ほどある。しかし、各社がホテル、レジャー産業、外食産業の小型店など特定の分野に注力しているため、ある程度の棲み分けがなされている印象である。

大規模な給食センターにおいては、設計段階から関与する必要がある。同社ではセンター全体の面積の4割程度を占める食器洗浄・食器保管、連続自動炊飯、連続加熱調理という主要4エリアを自社製品で構成できる。また、給食センターには調理後2時間以内に喫食するなどの時間的制約があり、同社はトラックの配送ルートを含めたプランニング能力も持ち、これが差別化要因になっている。児童数の減少という懸念はあるものの、給食室は今後、統廃合によって大規模なセンターに集約される可能性が高く、同社の大量調理向けの厨房機器にとってより有利な状況が続くと見られる。

同社は、学校給食センターのように大規模施設における大量調理機器を得意とし、製造や販売に留まらず、提案から設計、施工、開設支援、アフターサービスまでを一貫して提供できる体制に強みがある。こうした強みの背景にあるのが、全国をカバーする営業力と、パイオニアとして自社で企画〜開発〜製造〜販売〜改善・品質管理という製品開発サイクルを持続することで蓄積してきた技術力である。技術的な強みの一例として、産学連携で開発した「ファインバブル」や「二流体ノズル」といった新技術がある。学校給食センター向け大型洗浄機に取り入れたことで、洗浄力の向上とランニングコストの削減を同時に実現した。このほか、連続式過熱水蒸気オーブンや卓上型過熱水蒸気オーブン「DEECO」、炊飯システムなどでも、同社の技術力を発揮している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


《HN》

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