

2024.9.30
前回のコラムではIPO投資から「スピンオフIPOとは?」についてご紹介しました。スピンオフで新規上場するIPOは数少ないですが、予め仕組みがわかっているとブックビルディングに参加するべきか、セカンダリーで買い付けすべきか判断できます。是非、参考になさってください。
今回は、「東京地下鉄(9023)が上場!上場前の検証」についてご紹介します。
| 東京地下鉄の概要 |
| 上場までのスケジュール |
| 沿革 |
| 時価総額のポジショニング |
| 業績 |
| 各事業(主に運輸業が中核を占める) |
| 株主優待 |
| 「東証プライム市場」へ直接上場のIPOは妙味あり |
東京地下鉄(9023)の上場承認が発表されました。
同社は2024年10月23日に東証プライム市場へ上場予定ですが、主な事業は、
旅客鉄道事業の運営
都市・生活創造事業の運営・流通事業
(駅構内店舗、商業施設の運営等)・不動産事業(オフィスビルの賃貸等)・情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等)です。
「東京メトロ」で知られていると思います。

下記は同社の基本的な概要です。
東京地下鉄の概要
| 証券コード | 9023 |
| 上場市場 | 東証プライム |
| 上場日 | 2024年10月23日 |
| 事業内容 | 1.旅客鉄道事業の運営2.都市・生活創造事業の運営・流通事業(駅構内店舗、商業施設の運営等)・不動産事業(オフィスビルの賃貸等)・情報通信事業(光ファイバーケーブルの賃貸等) |
| 売り出し株数 | 290,500,000株 (国内売出し232,400,000株、海外売出し58,100,000株の予定) |
| 想定価格 | 1,100円 |
| 市場吸収額 | 3,195億円 |
| 時価総額 | 6,391億円 |
| 主幹事 | 野村證券・みずほ証券・三菱UFJモルガン・スタンレー証券・ゴールドマン・サックス証券 |
| 需給面のリスク | VC・SOはなし (但し、将来的に大株主による追加売り出しが発生する可能性も) |
| 業績 | 今期増収増益予想 |
| 配当 | 40円(期末配当のみ) |
| 上場承認日 | 2024年 | 9月20日 |
| 仮条件決定日 | 10月7日 | |
| ブックビルディング期間 | 10月8日〜10月11日 | |
| 公開価格決定日 | 10月15日 | |
| 申込期間 | 10月16日〜10月21日 | |
| 上場予定日 | 10月23日 |
※IPOのブックビルディング期間は一般的に6営業日〜7営業日ありますが、同社の場合は4営業日しかありませんので、ご注意ください。
※今回の新規上場に伴い、同社は11,620,000株の親引け(当社指定販売先への売付け)を行いますので、国内販売の株数に影響があります。
東京地下鉄のシンジケート

同社は、東京地下鉄株式会社法(平成14年法律第188号)に基づき、帝都高速度交通営団の財産の全部を現物出資により引継ぎ、営団の一切の権利及び義務を承継して2004年4月1日に設立されました。
※帝都高速度交通営団の沿革


※東京地下鉄の沿革


東京地下鉄は大株主が財務大臣と東京都のみとなります。
今回の上場ではそれぞれ保有株数の半数を売り出しに出しますが、残りの株についてはロックアップが180日間(2025年4月20日まで)があります。将来的に残りの株式の追加売り出しが発生する場合がありますので注意が必要です。
※各銘柄の株価やPERは2024年9月30日の終値を参考にしています。
東京地下鉄は同業他社(鉄道事業を取り扱っている企業)と比較すると、時価総額ベースでは10位となります。また、今期(2025年3月期)における予想PERは12.2倍となりますので、上位9社のPERの平均値が15.75倍となりますので割安感があります。
同社は主に旅客鉄道事業の運営を行っていますが、新型コロナの感染拡大の影響があった2021年3月期、2022年3月期は新型コロナの影響がなかった2020年3月期と比較すると減収とあり経常損失(赤字)となりましたが、その後は業績は回復基調となり、今期(2025年3月期)は増収増益予想となっています。
運輸事業は東京都市部を中心に9路線の地下鉄ネットワークを展開しています。前期の当連結会計年度の業績は、経済活動が活性化したこと等により、旅客運輸収入が増加し、前期(2024年3月期)の営業収益が3,564億6千7百万円(前期比14.2%増)、営業利益が637億8千5百万円(前期比336.8%増)となっています。なお、営業収益は全体の91.5%、営業利益は全体の83%を占めていますのでメイン事業となります。
不動産事業は運輸事業とのシナジー効果を目的として、運輸事業の路線を中心として、「渋谷マークシティ」や「渋谷ヒカリエ」などオフィスビルやホテルを中心とした賃貸を行っています。前期(2024年3月期)の当連結会計年度の業績は、営業収益が136億5千4百万円(前期比0.6%減)、営業利益が45億6千3百万円(前期比14.7%減)となっています。なお、営業収益は全体の3.5%、営業利益は全体の5.9%を占めています。
流通・広告事業は同社の運輸業の路線の駅においてEchikaなどの商業施設の運営を行う流通事業、主として駅構内や車両内の広告を取り扱う広告事業、光ファイバーの賃貸などを行う情報通信事業などを行っています。前期(2024年3月期)の当連結会計年度の業績は、営業収益が239億2千万円(前期比1.1%増)、営業利益が79億6千9百万円(前期比3.7%増)となっています。なお、営業収益は全体の6.1%、営業利益は全体の10.3%を占めています。
同社は東京都を中心に地下鉄ネットワークを展開していますが、9路線における停車駅数は180駅となっており、1日の平均運行本数は5309本に及びます。9路線、180駅の中では1日の平均652万人(2023年度)利用されています。新型コロナが落ち着いた2024年以降、訪日外客数は大幅に増加しており、今後はより利用者が増加することが予想されます。その効果が運用業の業績の底上げに寄与する事が想定されます。
東京地下鉄は2024年9月20日の上場承認を発表した際に「株主優待制度の導入に関するお知らせ」をリリースしています。株主優待乗車証は年2回、3月31日時点及び9月30日時点の株主に対し、所有株式数に応じて、全線きっぷ(片道1回限り)又は全線定期乗車証を発行します。その他の株主優待内容もリリースされており、クーポン券や無料招待券などが付与されますが、どちらも200株以上保有した場合、対象となりますので、上場後は株主優待の権利を目的とした「200株以上」の買い注文が入る事が期待されます。
2022年4月から東証は従来の東証一部、東証二部、JASDAQ、東証マザーズを再編し、「東証プライム市場」、「東証スタンダード市場」、「東証グロース市場」と変わりました。旧東証一部に値するのは東証プライム市場です。東証再編後の東証プライム市場への新規上場基準は旧東証一部の時より厳しくなっていますが、その条件をクリアして上場したのは4銘柄あります。吸収額、時価総額は大型ですが4銘柄とも初値は公開価格を上回っています。
東京地下鉄は同社の運用業における9路線の利用者が多いことや今年最大の大型IPOであること、また、知名度が高いことから注目度が高いIPOです。
IPO投資ではブックビルディングに参加して同社の株式を得る方法の他、セカンダリーとして注目する方法がございます。セカンダリーについては私の運営している塾の中で取り上げますので、参考になさってください。
柳橋義昭(やなぎばし・よしあき)氏 キーワード検索: #IPO
同業他社における時価総額のポジショニング

東京地下鉄の業績について

(新規上場申請のための有価証券報告書(�気良堯砲茲衄歓茵�

(同社の資料「2025 年3月期の業績予想について」より抜粋)
東京地下鉄の各事業(主に運輸業が中核を占める)
運輸業

(新規上場申請のための有価証券報告書(�気良堯砲茲衄歓茵�



(同社の目論見書より抜粋)
不動産事業


(新規上場申請のための有価証券報告書(�気良堯砲茲衄歓茵�
流通・広告事業


(新規上場申請のための有価証券報告書(�気良堯砲茲衄歓茵�
運輸業の補足

(同社の目論見書より抜粋)

(同社の目論見書より抜粋)
東京地下鉄の株主優待

(同社の目論見書より抜粋)
東証再編以降「東証プライム市場」へ直接上場のIPOは妙味あり

※P1(パフォーマンス)は新規上場時、公開価格に対する初値のパフォーマンス
※AVは平均値

(東証の資料より抜粋)
まとめ