

2024.9.20
前回のコラムではIPO投資から「有力なIPOを見つけるポイント」についてご紹介しました。事前の人気が高くない銘柄でも上場後から評価されるIPOがございます。私はIPOの上場承認が発表されたら、全て分析をして「ブックビルディングを申し込む銘柄なのか」「上場してからセカンダリーで買い付けるべき銘柄なのか」と評価しています。
今回は、「スピンオフIPOとは?」についてご紹介します。
先日、シマダヤ(250A)の上場承認が発表されました。
同社は2024年10月1日に東証スタンダード市場へ上場予定ですが、主な事業は麺類及び関連食料品の製造及び販売です。流水麺や焼きそば鉄板麺などで知られていると思います。
下記は同社の基本的な概要となります。
| 証券コード | 250A |
| 上場市場 | 東証スタンダード |
| 上場日 | 2024年10月1日 |
| 事業内容 | 麺類及び関連食料品の製造及び販売 |
| 売り出し株数 | 2,280,700株 |
| 想定価格 | 1,880円 |
| 市場吸収額 | 49.3億円 |
| 時価総額 | 285億円 |
| 主幹事 | 大和 |
| 需給面のリスク | スピンオフにつき注意 |
| 業績 | 今期増収減益予想 |
| 配当 | 40円(上場時中間配当の権利は過ぎているので期末の配当20円のみ) |




シマダヤは様々な食品を取り扱っていますが、売上高の62%は家庭用向けの食品となり、残りの38%が業務用の食品になります。前期(2024年3月期)の売上高は389億円、経常利益は34億円、当期純利益は25億円ですが、今期(2025年3月期)の業績予想は売上高が395億円、経常利益は29億円、当期純利益は20億円になりますので、前期比では売上高は増収予想も利益については減益予想となります。

シマダヤの上場はメルコホールディングス(6676)からのスピンオフによる上場になります。このスピンオフとは、会社の一部門を切り離し独立させることです。
今回の上場では2024年9月30日時点のメルコホールディングスの株主に対してメルコホールディングス普通株式1株につき当社普通株式1株が交付される予定です。
そのため、同社については上場前に株式を取得する方法は下記の2通りあります。
証券会社のブックビルディングに参加する
同社の主幹事は大和証券ですが幹事証券にSBI証券、楽天証券、みずほ証券、岡三証券、東海東京証券がございます。
メルコホールディングス
期間中(2024年9月26日まで)にメルコホールディングスを買い付け、その後、株主としての権利が確定した場合、保有株式数に応じてシマダヤの株式が現物配当されます。
(例)
2024年9月20日にメルコホールディングス株を500株買い付け
2024年9月27日に権利落ち
2024年10月1日に現物配当の効力が発生し、シマダヤ株が500株割り当てされる

過去のケースでは2020年にコシダカホールディングス(2157)からカーブスホールディングス(7085)がスピンオフで東証一部(現・東証プライム市場)へ上場しました。
なお、スピンオフによる株式公開の事例はカーブスホールディングスが1例目になりますので、今回のシマダヤの株式公開は2例目となります。
下記は当時の流れです。
| 2020年2月20日 | カーブスホールディングス株式の発行価格等決定日 |
| 2020年2月26日 | コシダカホールディングスの株式権利付き最終日 |
| 2020年2月27日(木曜日) | コシダカホールディングスの株式権利落ち日 |
| 2020年2月29日 | 分配基準日 |
| 2020年3月1日 | 現物配当効力発生日 カーブスホールディングスによる本新株式発行の払込期日 |
| 2020年3月2日 | 分配実行日 カーブスホールディングスの東京証券取引所上場日 |
カーブスホールディングスは新規上場の際に公募株として2,415,000株(新株発行)していましたので、同社の株式を上場前に取得するためには前述通り、
�ー膣柑�証券会社や幹事証券のブックビルディングに参加
��期間中にコシダカホールディングスの株式を保有して現物配当として割り当てを受ける
といった方法が選択できます。
スピンオフは会社の一部門を切り離し独立させますので、コシダカホールディングスからカーブスホールディングスが独立して株式公開した場合は理論上、コシダカホールディングスの株式価値からカーブスホールディングスの株式価値が分かれて算定されます。
2020年2月26日のコシダカホールディングスの終値1,426円
(2020年2月27日に1:2.11分割)
コシダカホールディングスの理論価格 676円
カーブスホールディングスの公開価格 750円
(676円+750円=1,426円)
コシダカホールディングスを保有して、カーブスホールディングスの割り当てを受けた場合、カーブスホールディングスが新規上場する当日は証券口座上ではコシダカホールディングスは理論価格が基準価格となります。そのため、スピンオフで上場する場合はコシダカホールディングスの評価損益だけではなく、カーブスホールディングスの評価損益が発生しますので注意が必要です。
2020年3月2日カーブスホールディングス上場日の株価
コシダカホールディングス
始値 615円 終値601円
カーブスホールディングス
始値 670円 終値680円
当時は新型コロナの感染拡大が懸念され、株式市場は軟調な値動きとなりました。
(その後、コロナショックが起こります)
理論上ではコシダカホールディングスを保有していて、スピンオフでカーブスホールディングスが割り当てされた場合、2020年2月26日の終値が1,426円になりますので、カーブスホールディングスを現物配当で得ている投資家は、1,426円を超えなければなりませんが、上場日はカーブスホールディングスが公開価格を下回って初値が決まりました。 上場日の終値で両社の株価を合算すると1,281円となります。
コシダカホールディングスもカーブスホールディングスも値下がりしたので、コシダカホールディングスを保有している投資家(スピンオフでカーブスホールディングスの割り当てを受けている場合)は評価損となります。
なお、カーブスホールディングスが新規上場してから買い付ける場合は同社の株価による評価損益だけになります。(カーブスホールディングスが値上がりしたら評価益)
今回は「スピンオフIPOとは?」を取り上げましたが、シマダヤはメルコホールディングスからスピンオフによる株式公開となります。メルコホールディングスを保有している投資家にシマダヤ株が現物配当されますので、上場後は現物配当で得た投資家が売却する可能性がございますので、ご注意ください。
次回のコラムでは「大型IPO」についてお伝えします。
柳橋義昭(やなぎばし・よしあき)氏
証券会社在籍時に営業、ディーラー、インターネット株式投資部門の立ち上げを行い、証券会社でのIPO業務や企業分析の経験を活かし、2008年に投資手法を確立。その後は毎年、投資を実践し、自身でも成果をあげ、これまで述べ50,000人の投資家に自身の投資手法を伝授。現在は合同会社Willowの代表として活動中。 著書に『いつでも、何度でも稼げる! IPOセカンダリー株投資』『安定的に利益を出せる 先回りイベント株投資』(ともにすばる舎)。証券外務員資格一種保有。IPOとイベント投資を学ぶ『新柳橋塾』を運営。キーワード検索: #IPO