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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/12/19 15:05, 提供元: フィスコ

Sシャワー Research Memo(5):コンテンツとソリューションの提供を通して多角的に事業展開(3)

*15:05JST Sシャワー Research Memo(5):コンテンツとソリューションの提供を通して多角的に事業展開(3)
■スペースシャワーSKIYAKIホールディングス<4838>の事業概要

4. リスク要因・収益特性と課題・対策
エンタテインメント産業の一般的なリスク要因としては、ヒットアーティストやヒットコンテンツの有無、自然災害(地震、台風、洪水など)や感染症の発生によるイベント開催リスク、著作権・商標権などの知的財産権の侵害、SNSや生成AIによる偽情報・コンテンツ拡散、個人情報保護、技術革新(デジタル化、AI活用、XRなど)への対応遅れなどが挙げられる。

事業別に見ると、ライブ・コンテンツ事業やエンタテインメントカフェ事業においては、自然災害や感染症の発生など同社グループではコントロールできない事由によってイベント・ライブなどが開催できなくなる可能性がある。この対策として同社はBCP(事業継続計画)を策定するとともに、各種保険にも加入している。またライブハウスやコンセプトカフェは出店に際して食品衛生法に準拠して保健所より営業許可を受ける必要があり、対策として衛生管理などを徹底している。なお生成AIに関しては、これを活用した新たな表現方法や業務効率を積極的に模索する一方で、アーティスト・ファン・パートナーの権利保護と信頼確保を最優先として必要なガバナンス体制の整備を進める。

メディア事業においては、有料多チャンネル放送契約者数が減少傾向にあるため、同社の業績にも影響を与える可能性がある。また同社は番組供給事業者であるため、チャンネル全体の編集権や価格決定などの権利を有している放送事業者の方針変更や放送関連の法令改正などが、業績に影響を与える可能性がある。対策として視聴者に選ばれるコンテンツの制作を強化している。このほか、プラットフォーム事業、ディストリビューション事業、クリエイティブソリューション事業においては競合も多いため、ヒットアーティストやヒットコンテンツの獲得・創出、高付加価値サービスの開発・提供、既存顧客とのリレーション維持や新規顧客獲得などを推進している。

また同社の収益特性として、スペースシャワーネットワークの主催イベントを中心に上期偏重型の利益構造となっていたが、SKIYAKIとの経営統合により下期も安定した利益計上が可能になった。



■業績動向

2026年3月期中間期は前年同期の台風影響一巡も寄与して大幅増収増益

1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
2026年3月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比12.5%増の11,904百万円、営業利益が同130.4%増の1,339百万円、経常利益が同137.2%増の1,381百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同147.2%増の800百万円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)が同79.3%増の1,641百万円と、大幅増収増益だった。主催イベントの好調に加え、アーティストマネジメント及びレーベル・エージェント、プラットフォーム事業なども伸長した。また、ライブ・コンテンツ事業において前年同期の台風影響(台風の上陸・接近による公共交通機関の乱れに伴い主催イベントの一部チケットを払い戻した影響約160百万円)が一巡したほか、経営統合関連費用が一巡したことも寄与した。

売上総利益は増収効果などで同32.6%増加し、売上総利益率は同4.7ポイント上昇して31.2%となった。販管費は同7.0%増加したものの、販管費率は同1.0ポイント低下して20.0%となった。そして営業利益率は同5.7ポイント上昇して11.2%、EBITDA率は同5.1ポイント上昇して13.8%となった。営業利益の前年同期比757百万円増益の要因分析は、ライブ・イベントの好調(前年発生した台風によるチケット返金の剥落を含む)で同289百万円増益、アーティストマネジメント及びレーベル・エージェントの好調で同181百万円増益、プラットフォーム事業の好調で同96百万円増益、経営統合一時費用の剥落によるコスト削減効果で同125百万円増益、その他で同67百万円増益だった。

なお主要グループ会社の業績(連結消去前の単体数値)は、スペースシャワーネットワークの売上高が同5.5%増の6,660百万円、営業利益が同186.2%増の976百万円、EBITDAが同116.9%増の1,057百万円、SKIYAKIの売上高が同25.7%増の1,973百万円、営業利益が同49.0%増の294百万円、EBITDAが同46.1%増の315百万円、インフィニアの売上高が同7.9%増の1,749百万円、営業利益が同0.3%減の100百万円、EBITDAが同12.6%増の153百万円だった。


コンテンツ、ソリューションとも大幅増収増益

2. セグメント別の動向
コンテンツセグメントは売上高(顧客との契約から生じる収益)が前年同期比12.6%増の6,483百万円、利益(全社費用等調整前営業利益)が同96.8%増の1,062百万円、EBITDAが同79.0%増の1,203百万円と大幅増収増益だった。売上高の内訳はライブ・コンテンツ事業が同25.5%増の3,503百万円、メディア事業が同8.3%減の1,245百万円、エンタテインメントカフェ事業が同7.9%増の1,735百万円だった。ライブ・コンテンツ事業はマネジメントやエージェントを担当するアーティストが各方面で活躍した。イベント関連は5月24日〜25日に開催した「POP YOURS」で約3.5万人、8月29日〜31日に開催した「SWEET LOVE SHOWER」で過去最高となる約8.5万人を動員し、いずれもチケット完売と好調だった。ライブハウス関連は15周年アニバーサリーイベントのチケット販売などが好調だった。アーティストマネジメント関連とレーベル・エージェント関連は所属アーティストの公演収益が大幅に拡大した。エンタテインメントカフェ事業は、中京地区への初出店や大型アニメカルチャーイベントの開催などで継続的に事業を拡大し、第2四半期の来店者数は同14.8%増の23.2万人となった。

ソリューションセグメントは売上高が同12.4%増の5,420百万円、利益が同272.7%増の275百万円、EBITDAが同58.6%増の437百万円と大幅増収増益だった。売上高の内訳はプラットフォーム事業(会計処理はネット表示)が同13.6%増の1,934百万円、ディストリビューション事業が同21.2%増の2,495百万円、クリエイティブソリューション事業が同6.8%減の990百万円だった。プラットフォーム事業はアーティスト、シンガーソングライター、俳優、お笑い芸人、漫画家ユニットなど様々なジャンルで新規ファンクラブサイトがオープンし、中間期末時点のファンクラブ有料会員数は同14.4万人増の145.3万人、FCサービス数は同359増の1,549と順調に増加した。ディストリビューション事業はデジタル配信がけん引して好調だった。ストリーミングサービス再生数は国内が同7.2%増の26.8億回、海外が同84.2%増の16.2億回となった。2025年8月には、同社所属アーティストであるSuchmosの楽曲「STAY TUNE」のストリーミング総再生回数が1億回を突破し、(一社)日本レコード協会のストリーミング認定において「プラチナ認定」を獲得した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)


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